大不況は、仮想空間の見えざる神が作ったもの。

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 車を運転していると、突然、大渋滞にぶつかる。事故があって、前方が通行止めになっているのなら、なるほどと分かる。しかし、それがなく、取り立てて、そうなる理由もなく、渋滞にぶつかる時がある。昔、名神高速の京都の天王山トンネルの付近で、慢性的な渋滞が発生した。原因をさぐると、トンネル入り口付近で多くの人が、ブレーキを踏んで減速するからだそうである。地形的に、そうせざるを得ないようなものがあったのかもしれない。一台踏むと、連鎖的に、それが段々と後方へ伝播される、それが渋滞を発生させたものらしい。複々線、天王山のトンネルを上下一本つくったら、その渋滞もなくなった。それと同じように、世界の多くの人々が、アメリカのサブプライムローン問題をきっかけにし、時代の流れにブレーキを踏んだのである。ある程度、マーケット筋では、中国五輪が済めば、中国でのバブルが収束するから、景気にブレーキが掛ると思っていた。それが、ひとつの心理である。もうひとつ要因は、忍び寄る地球温暖化による生態系の崩壊の危機感である。規制もなく秩序もなく無制限に市場経済を膨張させれば、近いうちに地球は崩壊するという危機の裏返しでもある。そして、もう一つの要因は、光や無線による高速ネットワーク、グローバル化である。それは、多くの人々が不特定多数の意思の上に、地球のあり方を裁定させたのと同じ事になる。もう、マクロ的なものは、特定の意思では動かない状態になった。巨大な不特定多数の意思の結果、確率論的に今の在り様が決定付けられる仕組みになってしまったのである。まさしく、高速道路を走る車と同じ状態が、今の経済と同じなのである。

 

 ひとりひとりの意思ではうごかない。しかし、それが巨大になれば、あきらかに、一つの正規分布をもつ、ひとつの意思が発生するのである。それが、神様である。今、人間が作り上げた見えざる神が、仮想空間に現れたのである。それが、全世界の一つの意思として経済活動の場に現れたのである。だから、アメリカ一国のエゴでは、動かないし、先進国の意思でも動かない。巨大台風と同じ、高速道路における渋滞と同じ、もはや何をやってもどうすることもできない状態になったのである。ある意味、待つしかないのである。渋滞を早く解消しようとすれば、警察官が来て、割り込もうとする人を整列さして、規制するのが、一番早いはずである。人間のエゴで、むちゃくちゃにするのが一番悪いのである。ラッシュ時の東京駅で、誰かが刃物を振りかざしてわめけば、大パニックになり、そのあおりで、新幹線に遅れがでて、ダイヤが乱れるというはなしと同じなのである。

 

 経済は、需要と供給とのバランスである。需要は、ある意味、購買心理でもある。これ以上の発展はいらないと多くの人が考えれば、それ以上の高性能のパソコンやデジカメはいらないのである。それよりも、エコロジーを推進しろといえば、根本的な動力や電力にメスを入れなければならないのである。社会のインフラを地球温暖化阻止にむかうように、整備しなおせという声がつよければ、そちらに舵を切る方向にむかうはずである。もちろん、方向をかえるには、一日で出来るわけがない。慣性の法則が働くからである。しかし、それも高速道路の渋滞と同じように、あるところから、車は流れ出すのである。

 

 まったく、これは皮肉なことである。しかし、長い目でみれば、今回の大不況は必然なのである。この世界のグローバル化によって、多くの不特定多数の意思が、現実の人間社会に反映されることになったのである。ある意味、アメリカの大統領よりも、賢い選択をするはずである。一人の人間がそうなりたくないと感じれば、多くの不特定多数の人もそう思うはずである。だれもが、この地球温暖化で、生態系が崩れ、人類に危機が生じることを望まないのなら、それが、世界の意思になるはずである。マクロ的には正しいことなのである。しかし、ミクロ的にみれば、そこで踊らされる人々には、たまらないはずである。戦争で、家族を、社会をめちゃくちゃにされるのと同じことになるからである。ただし、戦争であれば、みんなで助け合った。めちゃくちゃになった家族や社会を、相互扶助で乗り切った。今回の大不況は、ある意味、戦時下と同じことになるのである。見えない敵と戦うしかないのである。

 

 リストラされた人々、小泉構造改革以後、グローバル化や市場経済化、民営化といって、社会は雇用形態を流動化させた。グッドウイルのような人材派遣業が、急成長した。大企業は、ロボット化と臨時雇用化を進めたのである。だから、派遣社員や契約社員には、専門スキールがないのである。逆に、スキール(技巧、技能)をもたせないようにさせたのである。ある意味、残酷である。時間が過ぎて、歳をとる。リストラされる。失業保険もない、スキールもない。どうやって、生活をしていけばいいのだろうか、そして、その人たちに家族がいて、小さい子供がインフルエンザでも掛れば、どうすればいいというのだろうか。どう、この歳末をどうのりきれというのだろうか。そして、政治はまるで機能していない。麻生首相も、ただ、迷走するだけではどうにもならない。

 

 社会のインフラや構造が、大きく変わろうとしている。そして、ある意味、価値観が変わろうとしている。インサイドアップのように、グローバル化や市場経済化や個人主義化の波では、負だったものが、今度は正となるかもしれないのである。汗をかいたものが、報われる時代が来ると確信する。

 

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このページは、中野満が2008年12月 5日 10:38に書いたブログ記事です。

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