中川昭一財務相の醜態、なぜ、自爆するのか?

 ローマでの先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後の記者会見での、中川大臣の状態は、醜態を通り越して、妖怪にでも取り付かれたような不気味な風体であった。中川大臣は、先日小泉元首相が麻生首相に対して笑っちゃうぐらいあきれているといった発言を行った会見に対して、「総理にもなった人の発言か」と小泉元総理を勇ましくある意味否定した人である。その化け物のような醜態を見たあと、それが、何か虚しい猿芝居のようにしか見えなくなってしまった。それほど、強力なインパクトもって、見る人の心におぞましさを感じさせた。それほどの映像であった。

 

 中川昭一大臣は、まったくテレビの力、不特定多数の力、世論の怖さというのをご存じない、もちろん、知っているのだろうが、あまりに、無頓着すぎる。それよりか、財務大臣という地位を得て、ポスト麻生に対しても己の力を行使できるとある意味、慢心していたのだろうか、それとも、己に過信があったのだろうか、あまりに、無防備すぎる。中川昭一大臣のあの醜態は、ある意味、赤城元農水相の絆創膏とひげ顔の不気味さと同等か、それ以上の不快さを表していた。今は、ハイビジョンである。あの憔悴した、そして、ろれつが回らない、なにか、この世のものとは思われない、表情が画面いっぱいに映し出されたのである。端正な顔つきで、若々しく毅然とした態度で、国会の討論を制してきた中川大臣には、いつも若さがあった。すくなくとも、テレビの画面からはそう見えていた。その印象がずっとあった。そのために、中川昭一大臣は、好印象を持たれていたはずである。

 

 テレビは、怖いのである。不特定多数の力は、怖いのである。特に、政治家やタレントやミュージシャンは、人気商売である。政治家は、いくら、集票マシーンの組織に守られていても、悪い印象を運動員や大衆に与えたら、大物でも落ちてしまう。落選してしまえば、政治家は、タレントにしかなれない。タレントは、もろに好印象を与え続けなければならない人気商売である。テレビは、カメラが捕らえたものをそのまま伝える。カメラの裏は伝えられない、だから、メーキャップの人がいたり、演出家がいたりして、テレビの映る人物像をフィルタリングする。素を出したら、ぞっとする。アドリブを任せられる人は、アドリブという体裁をとっていようが、ちゃんと、まわりの空気を読んで、自分に要求された役割を演じきれる人である。だから、任せられるし、その分、ギャラが高いはずである。本当のおばかでは、芸能界ではおばかなキャラは演じきれない。ちゃんと、自分が演じなければならないキャラを周りの空気を読んで、演じているのである。もちろん、演出家や脚本家が用意されて、テレビという限られた時間で、ちゃんと収まりがいいように、作られている。それが、テレビであり、今のネットワーク社会である。

 

 だから、中川昭一大臣は、ある意味、ルール違反をしたことになる。中川昭一大臣の秘書は、一体何をしていたのか、あの状態が、国際舞台G7の記者会見で、映し出されたらどうなるのか、分かっていたはずである。もし、あれが、避けられない状態であれば、一言、「体調が著しく悪いので、申し訳ありません、本来は、出席できる状態ではなかったのですが、国益のために、会議ではがんばりました。」といって、よたっと倒れるぐらいの演技をすればよかったのである。それでも、政治家としての健康管理能力、自己管理能力が足りないと文句を言う人はいうが、多くの人は、ある意味、同情したはずである。

 

 不特定多数の大衆に対して接するときは、いかなる場合でも、個人の感情を出してはいけない。出してもいいときは、喪に服するときである。個人の苛立ち、個人の醜いエゴの部分は出してはいけない。常に、朗らかに、笑うのがいい。だから、アーチストでも、舞台の裏では仏頂面をしていながら、いざ、舞台に立つときや、カメラが回り始めれば、ニコッとする。一般の人が見たら、幻滅するが、関係者は、それが出来る人を逆に、プロ根性があるという。人気商売とは、そんなものである。それが不特定多数を相手にする人の定めでもある。だから、あの中川昭一大臣の醜態は、大臣の今後の政治生命に影響を及ぼすはずである。あれは、完全に酔っ払いの醜態である。どんな言い訳も抗弁にならない。ただ、その因は、将来の中川昭一大臣の在り様に対して、果を結ぶことだと感じる。残念でしかたがない。いままで、一生懸命にがんばってこられたと感じる。それが、あのテレビに映し出された醜態によって、かき消されたと思うと残念である。それほど、テレビという力、不特定多数の力は、恐ろしいのである。もし、中川昭一大臣をつぶしたいのなら、あの醜態の場面を、繰り返し、繰り返し流せばいいのである。不特定多数の有権者は、サブリミナイーとして、中川大臣を排除しようと潜在的に動くはずである。

 

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このページは、中野満が2009年2月16日 16:41に書いたブログ記事です。

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