江東区女性殺害、星島被告の愚かさ
会社員、東城瑠理香さん(当時23歳)を殺害し、遺体を切断遺棄したとして、殺人、わいせつ目的略取、死体損壊の罪で問われた星島貴徳被告(34歳)に、2月18日、東京地裁で無期懲役の判決がおりた。この事件の特異性は、性の奴隷にしたいという愚かな欲望がその犯行の動機にあることである。事実関係は明記すれば簡単である。昨年の4月18日の午後7時半ごろ、東城さんの部屋に押し入り、東城さんを自分の部屋に拉致し、約三時間後、包丁で首を刺して殺害し、その後、遺体を細かく切断して、トイレや近くのゴミ置き場にすてたというものである。
星島被告が、仮に、誰かを性の奴隷にしたいと思っていても、それ自身は、何の罪にもならない。実行しなければ、変態だと思われるだけである。そして、誰か女性が、逆に性の奴隷にされたいという願望があり、その人が、星島被告と出会い、意気投合し、それぞれが、変態プレーを楽しんでいれば、あくまでも自己満足の中で、その特異性がしまわれるだけである。それであれば何も問題はおきない。夜、回りを見渡しながら、路上をあるけば、家の窓の向こう側で、そんな特異性のある営みが行われていることを、想像しても、特に問題が起きるわけがない。そして、現実的に行われていても、同意の上であれば、そこに、痛みを伴った倒錯的な性の営みがあろうとも、本人同士がよければ、犯罪にはならない。ネットで検索していけば、変質的な星島被告が願望した世界を満たせる場所が、どこかにあったはずである。そこで、働いた金をつぎ込んで、自己の欲望を沈め、そして、何食わぬ顔して日常性に帰って、己の変質的な欲望が己の老化とともに、静まるのを待てばよかったのである。
裁判長は、「被害者をあたかも廃棄すべき物のごとくあつかったもので、自己中心的で卑劣な犯行」と非難したが、それと同時に、包丁で首を1回突き刺すという殺害の仕方は執拗(しつよう)なものではない、わいせつ行為には至っていない、殺人には計画性がないと、認定し、極刑を避けたようである。確かに、性の奴隷化という動機をもとに、東城さんを拉致したが、性の奴隷化の願望を充足するような具体的な行為は、行われなかった。そして、発覚がばれることをおそれて、殺し、その遺体をばらばらにして捨てたのである。
この星島被告は、愚かである。ただ、その一言である。性の奴隷を楽しみたければ、ネットで検索し、それなりのお金を払えば、この星島被告の欲望はすぐにでも解消されたはずである。そこに、多額のお金が必要であれば、そこへいくために、がんばって、必死になってがんばればいいのである。汗をかいて労働し、お金を手に入れ、そして、その一夜の戯れに、そのお金を消費すればいいのである。そういう人がいても、それが、暴露されなければ、誰も変態だと思わない。逆に、そうであっても、それのどこが悪いと開きなおれば、その相手が未成年でなく、それが強制されたものでなければ、それをとがめる倫理性は、どこの法律の中にもない。
この星島被告は、完全に仮想と現実の区別がつかない愚かな人間である。確かに、スポーツ紙の三面エロ小説やAV映画のなかでは、星島被告が想定したような性の奴隷化、女性の調教によって、恋人化するような作品等は、溢れている。ある程度の仮想の中では、そんなことを男なら想像するかもしれない。仮想の中であれば、それを思うサド的な男もいれば、逆にそういうふうにされたいと仮想の中で考えるマゾ的な女性がいるのもまた事実である。しかし、大抵の男女はそれをおかしいと感じる。これもまた確率的な問題になる。だから、普通の人は絶対に星島被告のようなことはしない。そんなことを考えていることさえも、当たり前だが、否定する。人には理性があって、相手がそれを望まない限りそんな行為は行わない。相手がそれを望んでも、普通は遠慮をするものである。しかし、この星島被告は、その仮想と現実の垣根をこえてしまったのである。普通は、絶対に超えられない垣根を越えたのである。その餌食になった、被害者はあわれである。それ以外にかける言葉がない。偶然の交通事故死であれば、まだ残された家族は多少救われたかもしれない。親族が突然に消えた。対象喪失としては、同じだろうが、その死ぬまでの過程の惨さを想像すれば、残された家族にとって、張り裂けそうなぐらいの苦痛であると感じる。できるなら、その加害者を被害者とおなじように、殺してやりたいとおもうのは、当然な気持ちである。
確かに、この事件は、女子高生コンクリート詰め殺人事件に類似した陰湿さがある。コンクリート事件は、現実な陰湿さと悲惨さを伴ったものである。普通の人なら、誰も、眼を背けたくなるような事件である。この陰湿さや残忍さは、戦時中であれば、公表されないだけで、それほど特異なものではなかったかもしれない。戦争と言う狂気の中であれば、人の理性など消えてしまうからである。きっと、人間が考えられる残忍なこと、残虐なこと、陰湿なことが、戦争という狂気の中であれば、ありえたし、実際に起きたことだと思う。また、それと同時に、必殺仕事人ではないが、それに対する人間としての報復が、裏で行われていたはずである。
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