歌手になってメジャーデビューするには
歌がうまいだけでは、メジャーデビューは出来ない。何か光るものがないと駄目だと俗にいわれる。普通、それがなんであるか分からない。メジャーデビューさせるか、させないかを選ぶのは、放送・マスコミ・レーベル等のプロデュサーの仕事の範疇である。もちろん、プロデュサーもある意味、請負である。選んだ人が、泣かず飛ばずでは、そのプロデュサーも、プロデューサー職の評価が落ちる。売れて何ぼの世界である以上、メジャーデビューさせた後、どうにもならなければ、このプロデューサーもお終いになってしまう。だから、歌よりも、何か訴えるものがあるかどうかをみるはずである。プロデューサーは色々なところへ出向き、その候補者の素質を見抜く。ある意味、その素質があれば、スカウトにうごく。プロデュサー候補と言われている人も、次から次へ出てくる。プロデュサーも、ある意味、使い捨てされる職種でもある。うまくいく人だけが勝ち残る世界である。だから、ある意味、情報が命である。歌のうまい人がいるよといわれれば、自腹でも足を運ぶ。
もちろん、「私は歌手です」と言えるには、そこそこの歌唱力がなければ話にならない。もちろん、音大や芸大の音楽関連を卒業しても、歌手になれるわけではない。まず、裏方に回るほうが多い。テレビやラジオにでて、大衆受けするには、それなりのものが必要である。あんな下手な人が歌手として売れて、と歌手を目指してトレーニングを受けた人はそう思うはずである。しかし、現実には、歌がうまい人がメジャーデビューするとは限らない。もちろん、歌がある程度の基準を超えればいいだけである。では、その何かとは何かといえば、それは、その人の内面にあるものである。それをAとし、歌唱力をBとし、ルックスをCとすれば、BとCは、あきらかに、直線的な比例である。しかし、Aは、指数的に変化するものである。直線的とは、1増えれば、ある決まった数だけが増えるものである。仮に、1増えれば、1個変化するものなら、10増えれば、10個変化するものである。指数は激しく変化する。10増えれば、100000個いやそれ以上変化するような感覚である。
メジャーデビューするには、総合点である。AとBとCがある範囲を超えなければならない。歌唱力があって、ルックスが良くても、Aが悪ければ、だめだと言うことになる。では、Aとは一体なんなのか、それは、自己を抑える力である。もっと言えば、抑える力を制御できる力である。抑える力が強いことは、抑えられるものが大きいということになる。それをZとすれば、ZとAとの関係が重要だということになる。Zとは、内面にあるもの、感受性に作用された情念の動き、その作用するものである。Zが大きくて、Aが小さければ、それはわがまま、自己中心的な人と呼ばれる。Zが小さければ、相手に共鳴を与えることはできない。心の内部に、篤いものがなければ駄目だと言うことである。そして、その内部から湧き上がるものを、どのように押さえ込んで、外部に見せないようにするかである。そこに、感情のゆらぎが現れるからである。
内面にあるものをつよく出せばいいかといえば、必ずしもそうではない。歌でも、それを前面にだせばわがままとなる。感情を強く無秩序にだせば、聞き手はうんざりする。しかし、感情のない人が、技巧だけで歌っても、聞き手には共鳴が起きない。個性がないと評価される。技巧的に歌っても、それは歌にはならない。だから、内面に強い感情を持たなくてはいけない、そしてそれが、ゆらぐような抑え方をしなければならない。1/f揺らぎ等の感覚でいけば、20?30%の抑え方をすればいいはずである。それは、あくまで、感覚的な問題で、どうすればそうなるかは、個人の感覚の問題でもある。それが、自律的にできる人が、華が在る人だということになる。愛嬌があって、だれからも好かれる人、場を和ませて、キラキラ光る人、けっして、不快の思いをさせず、素直に、自分の優しさを表現できる人、そういう人は、素質的にメジャーデビューできる人である。しかし、その人が、歌を目指すとは限らない、素質があっても、その能力に気づかずに一生を終える人もたくさんいるはずである。
感情が燃える。作詞者の情が乗り移る。役者と同じように、感情移入がはいる。しかし、それをそのまま、歌ってはいけない。泣いてはいけない。ぐっと押し殺さなければならない。しかし、目が篤くなるのを意識するはずである。泣いてはいけない、押し殺し、歌のメロディの抑揚に自分の気持ちを乗せなければならない。聞き手は、その歌い手の内面から、流れる感情のゆらぎを感じるはずである。それが、聞き手の心に入ってくる。聞き手も感動を感じ始める。歌い手は、心を制御している。それが、美しさの秩序となる。リズムとハーモーニーが心のしずくとなって、聞き手に注がれる。聞き手は、お金を払っても、その歌手の歌を聞きたいと思うはずである。そこに、商売が成り立つ。音楽関連のプロデュサーは、それが出来る人を探している。
だから、メジャーデビューして人気のある人は、ある意味、礼儀正しく謙虚である。業界関係者からの支持がなければ、大衆からも愛されないからである。礼儀正しく、謙虚であり、愛嬌があって、明るい人の方が、いいはずである。逆に、もの寂しさをかもし出しても、いいかもしれない。陰陽は裏返されるからである。
プロデュサーは、歌手を目指している人にきっと質問する。どうして、歌手になりたいのですか、そのときの反応一つで、その人が分かってしまう。そのときに、その人の心の動きが見えるからである。普通は、歌がすきだから、歌うのがすきだからと答えるだろう、その言葉などは、どうでもいいはずである。そういうときのその人の表情を読み取っているのである。そこに、華があるかどうかを見るのである。歌の技巧は、ある程度訓練で上達する。しかし、内面を制御する力は、直ぐには身につくわけがないからである。
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