奈良、近鉄桜井駅、高三同級生刺殺
なんとも、悲しい事件が起きたものかと思う。報道によると、「約束ごとを守らないので腹が立った」とその動機を供述したという。もちろん、心の真偽は分からない。報道によると、二人は期末試験のため、登校する途中だった。ホームセンターで購入した包丁をもって、浜田君が降りたところを刺した。決行したのであるから、殺す目的で、今日という日を選んだ。刃渡り16cmの包丁だそうである。ふたりは、高校の同級生のクラスメート、同じ制服を着て、期末試験を受けに来た。犯人は、「約束ごとを守らないので腹が立ったから刺した」という。殺された浜田知哉さんは、きっと、寝耳に水状態だったはずである。自分が、同級生に殺されることなど、まったく頭になかったはずである。もし、何かあれば、浜田君は、何かの危険を感じ、犯人と距離を置いたはずである。浜田君が何かしらの危険が犯人から加えられるような予感を前もってもっていれば、みすみす無防備に刺されたりはしない。まず、普通は、逃げるはずである。人間にはある程度の予知能力はある。
犯人に、気になる言葉がある。「約束ごとを守らないので腹がたった」、その言葉である。きっと、二人に何かしらの感情のしこりが残る出来事が過去にあったはずである。そう、それは、過去に消えて無くなる些細なものなのである。浜田君は、きっと、彼の青春の時間の流れのなかで、それを忘れていった。多情多感な青春時代である。ある意味、毎日が日曜日である。日替わり定食のように、どんどん、毎日が塗り替えられていく。三日前に食べた献立など、忘れるぐらいに、時間の流れが早いはずである。しかし、犯人の少年は、時間の流れがそれほど早くはなかったのかもしれない。本来は、過去は日めくりのカレンダーのように、ゴミ箱にすて、明日をどのようにいきるか、これから、どういう生き方をして、自分を確立していくか、そうして、異性と付き合い、どのように大人として成長していくか、それが、ある意味、高校3年生の夏の時代でもあるはずである。
舟木一夫さんの青春譜ではないが、やはり、高校三年生である。それも、期末試験が終われば、長い夏休みである。勉強と友情と恋愛と、色々と複雑にまざった、人生で一番多情多感の不安定な時期である。ある意味、人の一生を決定付ける時期でもある。そう、本来は、けっして、マイナスになる時期ではなかった。しかし、二人にとっては、最悪な7月の4日になった。浜田君は、殺された。結果から見れば、今日という日に殺されるために今日まで生きてきたと言うことになるし、犯人は、今日という日に、同級生を刺殺するために、今日まで生きてきたと言うことになる。ある意味、残酷である。もちろん、殺された浜田君のご両親の無念さは想像にあまりあるし、犯人の親族は、これからどんな制裁がまっているか、その子供の十字架を背負っていかなければならない。長くてつらい時間がまっている。
きっと、些細なことがことの発端だとおもう。約束事を守らない、いつの世でも、そうである。自分も約束事をまもらない。相手も約束事を守らない。普通はそうである。昔は、みんな同じような時間の流れがあった。高校三年生、ませた奴が、車で比較すると60キロ/hのスピードではしっていても、すこし、鈍感なやつでも、それでも20キロ/hの速度で走っていたものである。ませた奴は、女性と経験をもったやつも、いたかもしれない、しかし、大抵は、童貞であったはずである。そうして、高校三年の夏から、ひと夏、ひと夏、さらにひとの夏を経て、みんなすこしづつ大人になっていったのである。時間の流れが、ある程度、平等だったはずである。殺人などおきない、それ以前に、気にいらなければ、相手の家に出向き、何故だと、口論ですんだはずであり、最悪は喧嘩で終わったはずである。なぜなら、同じような速度で、同じような方向を向いて、みんな生きていたからである。多少のでこぼこはあっても、どこかで平滑化されたはずである。
二人が通う高校は、当然のように、命の大切さを指導している、残念だ、というはずである。命の大切さ、人への思いやり、確かにそのとおりである。しかし、現実では、少子高齢化で、私立の先生のリストラもいずれ水面下で動いてくる。社会も二極化され、格差社会になっている。命の大切さよりも、明日の自分の生活が大切な場合でもある。人の心に流れる時間の速度差が、乱気流のように乱れている。流れが速まるのは、社会にでてからでいい。学生時代、すくなくとも、高校時代は、ゆったりと大河のようにながれるのがいいはずである。構造改革の弊害が、高校生の心の時間軸まで狂わせてしまったようである。
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