大阪此花区四貫島パチンコ店放火殺人

 世にも、恐ろしい事件が起きたものである。確定した情報ではないが、どうやら、75日の日曜日、午後415分ごろ、突然、男がパチンコ店に入ってきて、もっていたガソリンをばら撒き、それに、火をつけて逃走したようである。それによって、4人が死亡し、数十人の人が重軽傷を負った。重傷患者の中から、今後、死亡者が出ないとは限らない。

 

 此花区の四貫島のこのパチンコ店に、今は行くことはないが、私は十年ぐらい前は良く通っていた。地元の人は、元のパチンコ店の名前の方が、なじみ深いはずである。テレビから映し出された現場の光景をみれば、なじみの店であれば、誰でもが、あそこだと分かるものである。だから、大阪の四貫島の人たちが、どのような気持ちで、パチンコを楽しんでいるのかも分かる。そして、数十年前だが、大阪のおばちゃんたちから、良く玉が出ていれば、大抵、男は「にいちゃん」、女は「ねいちゃん」で呼ばれるが、「にいちゃん、景気いいね」と初対面の人にでも平気で声を掛けてくる、四貫島とはそんな土地柄なのである。もちろん、出ていなければ、「にいちゃん、この台は、でないから、やめとき」といってくれるのである。最初は、なじめないが、だんだんとその雰囲気に、融和されていくものである。ある意味、それが、大阪の面白いところでもある。もう、十年以上も前であるが、いまでも、その気質は残っているはずである。

 

 死亡した人の年齢を見れば、伝法、春日出、梅香、と地元の年配の方々である。それなりに楽しんでいたはずである。そして、死亡した最後の人をみて、やりきれない思いがした。派遣として店で働いていた、20歳のお嬢さんである。そして、私がはっとしたのは、その人の名前だった。麻衣さん、なのである。もちろん、麻衣さんといえば、有名な歌手の倉木麻衣さんを思い出す。そして、もうひとり、私の記憶に在るのは、ブログで書いたので、記憶にのこっているが、故倉本舞衣さん、音でいえば、やはり「まい」さんなのである。犯人は、30歳前後の細身の男性、バケツにガソリンを持って入って、ばら撒いて火をつけている。犯人が捕まっていない以上、犯行目的や動機が特定されない、非常に陰鬱な感じがする。いずれにしても、防犯カメラが設置されている。地元に住んでいれば、犯人は特定される。このパチンコ店に恨みを持つものであれば、地元の人である。そして、パチンコという賭博性に腹が立ったのであっても、やはり地元の人である。近隣の人であれば、いずれ、足がつく。時間の問題である。

 

 いずれにしても、この四貫島近辺はおおらかな土地柄である。昔は、鍵などかけることはなく、近所通しが、勝手に家に入ってきて、くっちゃべって、そして、一日が終わるそんな町であった。銭湯があり、色々と下世話な話をする。それが、大阪のおばちゃんの根幹にある。家に囲いがなく、道がそく、入り口である。どこどこのだれだれちゃんが、どうした、こうした、一つの情報が、一気に伝播される町である。とくに、此花、四貫島、伝法、梅香、などは、その中心的な地域でもあった。そう、今はユニバーサルスタジオができたが、その前は、戦後を支えてきた大手企業がどんと存在し、町の経済を支えていたところでもあった。

 

 そんな日本の大阪らしい中心地で、陰惨な事件が起きた。格差社会、自由競争、規制撤廃の嵐が、民衆の心を荒廃させていったのである。私は、十年前ぐらいから、パチンコはやめた。なぜなら、賭博性が強くなったからである。1000円をもっていっても、昔は遊ばせてくれた、自分の精神力で、遊び台なら、ある程度、でだまが出たところで、自制して止めて、たばこと交換することができた。そのうち、打ち止め台とめぐり合い、儲かることもあった。ある意味、ぱちんこは、自分にとって、精神的な修行の場でもあった。しかし、それから、デジタル博打パチンコの時代に代わっていった。PCに管理される。1000円も、運が悪ければ、悪いというよりも大抵、一分も経たないうちに無くなってしまう。格差社会の典型は、確率論である。N数である。資金が多ければそれだけ利潤が増える仕組みである。5%の確率で儲かるなら、1000円なら、50円である。もし、1000万なら、50万である。デジタルパチンコであれば、資金力と確率論とパチンコ台の数の出球の偏差を研究すれば、その店の収益、営業戦略を見ていけば、ある程度の計算はできる。もちろん、その金はどこから取っていくか、庶民のかけなしのお金である。これは、弱肉強食の格差社会だからできるのである。自己責任という巧妙に洗脳された論理で金を吸い取られていく仕組みだったのである。ギャンブルである。胴元が必ず儲かる仕組みなのである。それと、禁煙の時代である。たばこを吸わない人は、パチンコ店へはもう行かない時代でもある。

 

 この犯人は、この仕組みにきれたのであろうか、それとも、己の欲望を制御できず、ずるずると、このギャンブルのわなに落ちていく自分に耐えられなかったのだろうか、それとも、この世、そのものに耐えられなかったのだろうか、いずれにしても、犯人の動機が分からない以上、なんともいえない。すくなくとも、人を4人も、無差別に殺害したのであるから、死刑は免れられない。やはり、この10年、社会は格差社会に行き過ぎたような気がする。これから、エコバブルが、かならずくる。中間層に資金を還元できる方法へ持っていかないと、日本社会の美徳が完全に崩壊する。四貫島で、こんな事件がおこることなど、考えられない。ある面、このような事件とは一番縁が遠いところだと考えていたからである。

 

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このページは、中野満が2009年7月 6日 09:14に書いたブログ記事です。

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